MUSE CREATION Charitable Trust [NGO]

LOVE & HOPE, NO BORDERS 🌏 国境を越えて、愛と希望。

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先日、インドの貧困層の子供たちに、無償で給食を提供している非営利団体、アクシャヤ・パトラ財団(母体はイスコン寺院)が主催するイヴェントに出席した。

「アクシャヤ・パトラ」とはヒンドゥの神話に出てくるモチーフで、サンスクリット語で「無尽蔵の器」を意味する。

インドの教育、特にGovernment Schoolと呼ばれる公立学校は、州によっても事情は異なるが、設備や教育施設が整っていないところが多数ある。

給食がないのは、まだまだ序の口。小さな校舎はあれど、トイレ(特に女子トイレ)がない。あるいは、教師が来ない。来ても教育方法を会得していないといった、基礎的な部分が不全であるケースも多々ある。

2010年4月より、ようやくRTE (The Right of Children to Free and Compulsory Education ACT)法、すなわち「無償義務教育法に関する子どもの権利法」が導入されて、徐々に教育の現場は改善されつつある。

しかし、たとえ所得が少ない層であれ、公立学校よりも私立学校への進学を希望する人々が多いのが現状だ。

少しでも公立学校の環境をよくする一環として、無償の給食を提供し続けているのが、アクシャヤ・パトラ財団だ。

この財団の存在は、わたし自身がインドで慈善活動を開始する契機のひとつを与えてくれたという背景がある。また、6年前には給食センターも見学した。そのときのレポートを下部に転載しているので、ぜひご覧いただければと思う。

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この日、アクシャヤ・パトラを支援する私企業のひとつであるTAJグループがホテルを提供し、子供たちのパフォーマンスが披露された。アクシャヤ・パトラは学校給食の提供だけでなく、子供たちの才能を伸ばすべく、さまざまなプログラムも支援しているのだ。

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最初の1時間ほどは、アクシャヤ・パトラのプログラムによって支援された、全国各地の子供たちの活躍ぶりが映像で紹介される。

子供の頃から宇宙に関心を持ち、優秀な成績で大学に進み、道を極めている青年。

伝統的なダンスを習得している子供。

小さな頃から料理が好きで、現在、このホテル(TAJ YESHWANTPUR)のキッチンで働いている青年。

男子に負けず劣らず、練習に励み、活躍している女子サッカーチームの子供たち……。

子供たちの才能が、みるみるうちに開花している様子を目の当たりにして、胸が熱くなる。

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この日、バンガロールだけでなく、隣州からも集まった子供たちは、軽く100人を超えていた。

一番上の写真は、バラタナティヤムと呼ばれる南インド起源の伝統的なダンスを披露した子供たち。わたしが外国人ということもあり、ニコニコと笑顔で集まってきて、一緒に写真を撮ろうと言ってくる。

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この子たちは、ハイデラバードの、とある種族の踊りを披露してくれた。結構、アクロバティックな動きのある、体育会系のダンスだ。

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孔雀の羽をつけた子供たち。引率の先生も、子供たちも、あちらこちらで写真撮影で大忙し。

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会場には、支援者を始め、関係者の家族らで埋め尽くされていた。

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演劇を披露する子供たち。

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折り紙を披露する子供たち。

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わたしは、Facebookのイヴェント情報を見て関心を持ち、今回、申し込んだ次第で、特に招待を受けたわけではなかった。いったいどのような催しなのか、関心があったがゆえ、足を運んだのであるが、行ってよかった。

東洋人的風貌の人間はわたしだけということもあり、スタッフの人たちも、こちらが赴かずとも挨拶をしてくれる。

いつかまた給食センターを見学したいと思っていたので、どなたかに打診しようと思っていたのだが、広報担当、国際部門担当、マネージャーと3名、いずれも女性と挨拶を交わし、今後のつながりを約束した。

次回は、アクシャヤ・パトラの本拠地であるイスコン寺院内にある給食センターを訪問させてもらうことにした。朝の6時半集合となかなかにタフな社会科見学ではあるが、近々、ミューズ・クリエイションのメンバーを中心に参加者を募り、赴きたいと思っている。

なお、同団体は、日本企業からの関心も集めており、昨年は三菱東京UFJ銀行が多額の寄付をしたようだ。なお、この記事にも記されている通り、インドに拠点を置く企業は、収益の一部をCSR活動に充てることが義務付けられている。

(2014年4月、インド新会社法改正。在インドの大企業(売上高100億ルピー)に対し、純利益の2%をCSR活動に支出するよう義務付け)

参考までに、日本企業が関わる記事のリンクをはっておく。

◎三菱東京UFJ銀、インドNGOに寄付
◎日経アジア賞経済部門受賞

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2018年4月現在。

・アクシャヤ・パトラのキッチンは全国12州、36箇所に設置。

・14173の学校に無償の給食を届けている。

・170万人以上の子供たちが、作りたての、温かい給食を食している。

「2020年までに、500万人の子供に給食を届ける」

ことを目標に、世界最大規模の同NGOは、これから先も、支援の輪を拡大し続ける。

AKSHAYA PATRA (←CLICK!)

12億人以上もの人々が生きる超巨大国家インド。

目に見える不都合に囚われて、政治や政治家を責めたところで、何の解決にもならない。

だから、人々が、さまざまな形で、それぞれのやり方で、世の中に光を灯している。

小さな灯火は、やがて確かな光となる。

この国は、人知れず、世のために尽力している人が大勢いる。

山積する社会問題ばかりが取り沙汰されるが、しかし、地道に活動を続ける人たちの存在を看過すべきではない。

世を憂いても、なにも始まらない。

憂いたり、嘆いたり、責めたりするよりも、たとえ微力でも、自分ができることを考えたい。

ともかくは動く。

大きいことを目指さずとも、できるところから。

一人の子供に、一つの契機を与えることから、はじめればいいのだ。

小さな小さな出来事が、子供の未来を好転させるきっかけになるかもしれないのだから。

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●遍くこどもに給食を。食事が育むインドの未来。 
(2012年9月のレポート)

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今朝は、4時起床。自宅を5時に出て、バンガロール市街南部へ。世界最大の給食センターであるNGO、「アクシャヤ・パトラ」を見学するためだ。

在バンガロールの米国の大学卒業生によるクラブが主催のイヴェントで、毎度、夫に同行しての参加だ。

バンガロール拠点のヒンドゥー教の寺院であるイスコン・テンプル(ISKCON TEMPLE)が母体の「アクシャヤ・パトラ」。

No child in India shall be deprived of education because of hunger.
(インドの子どもの一人とて、空腹を理由に教育を奪われてはならない。)

を理念に、給食サーヴィスが開始された。児童就労の子どもたちを減らすためには、まず学校を整備せねばならない。

腹が減っては勉強はできぬ。というわけだ。

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膨大な数の貧困層を抱えるこの国。もしも学校で栄養のバランスがよい食事ができれば、給食が目的で学校に通う子どもたちも増える。

先進国から見れば、考えられない事態かもしれないが、それがインドの現実だ。

ここでも幾度か記したが、インドの公立学校は州によって差異があるにせよ、学校としての機能を果たしていないところが多い。

教育設備以前に先生の技能が足りない、トイレの設備がない、そして給食などがないといった実態から、貧しくても私立学校に通わせる家庭が多数だ。

これに関しては、過去にも記しているので、下記、参照されたい。

■インドの教育事情。超、断片。2010/09/06
 (←Click!)
■貧困層の子らに英語とコンピュータ教育を。2012/02/29 (←Click!)

「アクシャヤ・パトラ」が2000年に創始された当初は、バンガロール市内5つの公立学校(ガヴァメント・スクール)、1500人の生徒たちが対象だった。

現在は、インド全国9州約20都市に給食センターを配備。毎日9000校、130万人の子どもたちに、給食を届けるに至っている。

最初は寺院の「社会奉仕」からスタートしたアクシャヤ・パトラだが、「給食を目当てに」子どもたちが学校に通い始めたケースがレポートされ、多くの公立学校から依頼が来るようになった。

アクシャヤ・パトラの活動は、インド政府が2004年に公立校の給食を義務化する契機にもなったという。

現在では、政府からの補助金と、企業や個人からの寄付金によって賄われている。バンガロールで最も有名なIT企業であるインフォシスも支援。野村ホールディングスなど日本企業も寄付をしているとの記事を見つけた。

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給食の調理時間のピークは午前6時前後だとのことで、6時に約10名の参加者が集合。ジェネラルマネージャーのムラリダール氏の案内で見学が始まった。

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数カ月前からアクシャヤ・パトラで働き始めたというムラリダール氏。かつては米モトローラで品質管理の業務に携わっていた。

この給食センターが、「大量の食事を短時間に調理できる」「栄養価の高い食事を廉価で提供できる」「独自のグラヴィティ・フローで作業を効率化している」といった、画期的なシステムで運営されていることを、説明してくれる。

グラヴィティ・フローとは重力を利用して、効率化を図っている作業工程らしい。

公立学校の給食が義務化された現在でも、アクシャヤ・パトラの人気が高いのは、その料理のおいしさにもあるという。

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壁には、「大切な5つのS」として、なんと日本語が並んでいる。

「整理」「整頓」「清掃」「清潔」そして「しつけ」

なんだか、くどい気がしないでもないが、丁寧に説明書きが施されている。今、調べてみたら、これは日本の製造業、サーヴィス業では比較的一般的な概念なのですね。知らなかった。

■5S (←Click!)

海外でもよく知られているところの「KAIZEN(改善)」も意識しているとのことで、バンガロールにあるトヨタ・キルロスカー・モーターの工場へ視察に行ったこともあるという。

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さて、見学は屋上からはじまった。ここには、米や豆など穀物を貯蔵するためのサイロがある。ここから、作業を上から下に落としていく、この給食センター独自の「グラヴィティ・フロー」が開始する。

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階段を下りて最上階へ。

ここは素材の準備フロア。

上のサイロから大きなパイプを通して素材が「落ちて」くる。

それらをここで洗浄し、調理の準備を整える。

下の写真は、すでに作業が終わって清掃をしたあとの状態。非常に清潔な印象だ。

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左下は、トマトをジュース状にしているところ。右下は、洗浄、カットをし終えた素材を、下の階の調理釜に「落とす」べく、穴。

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このほか、冷蔵室などもあるが、その規模は、さほど大きくない。野菜などの素材は、基本的に日々、調達される。

ちなみに、料理は約30種類あり、毎日異なる料理が2、3種類。そしてカード(ヨーグルト)が添えられる。

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さて、ここが調理場。上階から落とされる素材が、鍋に直接、落下するよう備え付けられている。

メニューは、ヴェジタリアン。しかも、アーユルヴェーダでも推奨されているところの、「サトヴィック・フード」が基本となっているという。

一方、身体にとってよくないとされる加工食品など「タマシック・フード」は一切使われない。

なお、アーユルヴェーダでは、一度冷めた料理も「タマシックな食べ物」だと判断されるため、冷凍食品などは決して好まれない。

サトヴィック食について、日本語でわかりやすく書かれているサイトがあったので、興味のある方は、こちらをご一読されることをお勧めする。

新鮮な野菜や果物、豆類、無精製の穀物、乳製品、そしてスパイス……。自然の恵みをふんだんに生かした、粗食ながらも健康食である。

ちなみにサトヴィックでは、玉ねぎやニンニクも用いない。揚げ物や炒め物もなく、主に「蒸す」「煮る」料理であることから、キッチンが油っこく汚れることもない。

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これは、炊きあがった白米に巨大しゃもじを入れている様子。

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これは、トマト風味の炊き込みご飯。ともかく、たいへんなヴォリュームだ。こんなに一度に炊いても、米の形が崩れてしまわないことに驚く。

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炊きたてアツアツの料理は、台車に移され、すぐ後ろにある穴から、下に、またしても「落下」させる。

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落ちて来た料理を、そのまま釜に移し、ベルトコンベアに載せ、すぐ外で待機しているトラックに積み込み、配達される。

重力(グラヴィティ)を最大限に利用したこの作業工程。素材の移動に無駄がなく、シンプルで手早い。

なお、料理はここを出る時には、華氏90度(摂氏約32度)、食事の際には最低でも華氏60度(摂氏約15度)に保たれるようにしているという。

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センターの見学を終えたあと、会議室で簡単なレクチャーを受け、その後、わたしたちも朝食をいただいた。

ここで作られたばかりの給食だ。給食には、これにカード(ヨーグルト)が添えられる。

手前のトマトライスは、スパイスの風味がしっかりとしており、しかし塩分控えめでヘルシーなおいしさ。奥はプランテーションバナナと豆の煮込み。ほんのりと甘い料理だ。

なお、北インドではチャパティが主食となるらしく、アクシャヤ・パトラが開発した「1時間で4万枚のチャパティを焼く機械」が使用されているという。

下に、いくつかの動画を載せておいたので、ぜひご覧いただければと思う。

なお、バンガロールには、ここともう1カ所、計2カ所の給食センターがあり、毎日12万食を調理し、820校に届けているという。

給食のコストは、州によって若干の差があるものの、平均すると1食あたり6.38ルピー。即ち10円ちょっと、である。

なお、政府からの補助金が3.66ルピー、寄付金が2.72ルピーという割合だ(2011年の資料)。

わたしたちも、心ばかりではあるが、寄付をさせていただくことにした。


「アクシャヤ・パトラ」とはヒンドゥの神話に出てくるモチーフで、サンスクリット語で「無尽蔵の器」を意味する。

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この給食のコンセプト。サトヴィック・フードを供しているという点においても、強い感銘を受けた。インドの底力を感じさせられた朝である。

★財団の詳細については、下記のホームページを参照のこと。

■AKSHAYA PATRA (←Click!)

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今、はたと思い出して、過去の記録を遡ってみた。

写真を拡大すると……やはり。

この青いバス。写真を拡大してみると、アクシャヤ・パトラの文字が見える。これを見たことが、わたしが慈善活動に対して、少し足を踏み入れる契機にもなったのだった。

活動を始めた経緯を、かつて記していた懐かしの「インド発、元気なキレイを目指す日々」に記していた。こちらも、目を通していただければと思う。が、こちらにも、思い出の青いバスの写真を。

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※以下、過去の記事より抜粋

2年前(2007年)のあるとき、路上でこんなバスとすれ違いました。子供たちが食事をしている様子が、バスのボディに描かれています。給食サーヴィスの車のようです。

バスの後部の文字が、目に飛び込んで来ました。

“Feeding for a hungry child is not charity. It’s our social responsibility.”

「お腹を空かした子供に食事を与えることは、チャリティ(慈善)ではありません。我々の社会的責任です」

社会的責任です。

というひと言に、心を射抜かれました。

それまでは、貧しい人たちに対して何らかの施しや支援を行うことに対し、「慈善活動」「ヴォランティア」と定義して来たからこそ、わたしの中の理屈っぽい感情が拒絶反応を起こしていたのだと思い至りました。

しかしそれらの活動を「社会的責任」と表現すると、より積極的に関われるような気がしました。

以来、便宜上はわかりやすさを尊重して「慈善活動」と表現していますが、わたしの心の中では、「社会的責任の一端を遂行している」と定義して、活動を始めることにしました。

■社会的責任としての、慈善活動 (←Click!)

★ ★ ★

●BBC WORLD NEWS (2011)

●1時間で4万枚のチャパティを焼く機械。

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●西日本新聞連載『激変するインド』 
(2012年10月のレポート)

FINAL

5年半に亘ってインドをレポートしてきた『激変するインド』。紙面改編に伴って、今回が最後となった。

最後は、この5年半を総括するような内容にしようと思っていたのだが、先だって訪れたアクシャヤ・パトラのことをどうしても綴りたく、総括をやめた。

最後に相応しい話題だったと思う。

改編後もインド発信の何かを、別の形ででも残して欲しかったが、仕方がない。

インドはこれから先、もっと日本に知られるべき国であることは間違いない。今まで以上に、これから先は。

福岡からインドへ開くこの小さな窓が閉じられることは、いかにも残念だが、残念がっていても仕方がない。今回の帰国で、また新しい別の窓を、いくつか取り付けてこよう。

異なる視点からのインドの光景をまた、眺めてもらうために。

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