MUSE CREATION Charitable Trust [NGO]

LOVE & HOPE, NO BORDERS 🌏 国境を越えて、愛と希望。

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今日はバンガロール郊外へ、「小旅行」の一日であった。

先だって、知人を介して知ったNGO団体、One Billion Literates。この組織が支援する5つの学校(近々7校になる)のうちの2校を訪れるべく、バンガロール南部まで足をのばしたのだった。

案内してくれたのは、One Billion Literatesの創始者であるアナミカ。アッサム出身だという彼女はボストンでソフトウエア・エンジニアリングの仕事をしていたが、2010年に家族そろってインドへ戻ってきた。

以前より、貧しい子供の教育支援をすべく、NGO活動をしたいとの思いがあったという彼女。

子供たちの学校(日本でいう小学校から中学校まで)の設立をまずは考えていたところ、夫の勤務先の近くにあるガヴァメント・スクールを訪れる機会があった。

インド、ことにカルナタカ州のガヴァメント・スクール、即ち州立学校の大いなる問題点については過去に記した。その記事は下に転載するので、ぜひとも読んでいただきたい。

それを知ることによって、本日の記録の意味合いが深まると思われるので。

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彼女は、ガヴァメント・スクールがまともな教育を与えてはいないという実態を、もちろん知っていた。

しかし最低限の校舎は存在しているということを知り、そこで英語とコンピュータスキルを教えることを思いついた。

現在、徐々にスタッフを増やしつつも、自ら遠方の村まで車を運転して訪れ、教鞭をとっている日々だという。自身も二人の子供をもつ母親ながら、その行動力と情熱には敬服するばかりだ。

近い将来、教師の教育施設や、職業訓練のクラスを設けたいと考えているという。

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最初に訪れたのは、バンガロール南部、採石場の近くにある、Thimmaindoddiと呼ばれる貧しい村。人の気配のない、岩山の殺風景な光景が続く道を走り抜けたところに、その村はあった。日射をさえぎるものがなく、暑い。

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人口100名余りの小村で、生徒は12人を数えるだけだが、そこに校舎があること事態に、驚く。

インドにある約100万校のK-12(Kindergardenから高校までの13もしくは14年間の教育期間)のうち、私立は7%に過ぎないのだが、しかし。私立学校に入学しているのは、全生徒数の44%にものぼっている。

という言葉の説明は、下記に転載している過去の記録を読んでいただければおわかりいただけると思う。

つまり、ガヴァメント・スクールは、学校数でいうと全体の93%を占めており、数だけはものすごい、という事実。その事実を裏付けるかのような、僻地の小さな学校である。

但し、その学校の「教育の質」が低すぎることが問題なのだ。だからこそ、アナミカは、その場所を活用して、独自で教育を行うことを考えているわけである。

政府とのやり取りなど、障壁もあるだろうが、しかし非常に実践的だし無駄のない方策だとも思われる。

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集落に到着すると、校舎にいた子供たちが一斉に駆け出してきた。本日の同行者は、先だってこの団体のことを紹介してくれた日本人女性と、バンガロールでNGO活動をしている、やはり日本人の女性お二人。

アナミカと彼女たちが、持参の不用品などを村の人たちに寄付する。

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この村の人たちは、衣類も粗末で見るからに貧しいが、しかし非常にのんびりとしており、支給される服などを奪い合うどころか、遠慮がちに受け取る。

我が家の近所のスラムに衣類を届けた時には、そらもう、身ぐるみ剥がされるんじゃないかと思うくらいのアグレッシヴさで人々が集まってきて、身の危険を感じたものだが……。

彼らは典型的な南インド(ドラヴィダ人)の顔ではなく、独特の風貌。アナミカ曰く、昔ながらの部族の末裔ではないかとのこと。

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英語が上手な彼女、スグナ。卵の会社の名前と同じ(!)なので、すぐに覚えられた。物腰が穏やかで、知的な表情をしているのが、印象的だった。

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校舎は想像していたよりもずっときれいだった。教室は一つしかないが、生徒が12名しかいないのだから、十分な広さである。

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アナミカが子供たちに英語の本を読んでいる。読みながら、単語をゼスチャーまじりで教える。アナミカは地元カンナダ語ができないため、助手だと言う男性が、通訳として子供たちとの間に入ってくれる。

29ngo17アナミカが提供したというライブラリー。

と呼ぶには、あまりにもとっ散らかった本棚。

英語の本を寄付しているとのことだが……。

きちんと並べて収納したい衝動を抑えつつ。

中途半端に余計なことをするのもなんなので、我慢した。

ところで子供たちは、衣類などもさることながら「文房具」を切望している。

これは多くの慈善団体(教育関係)に共通すること。

鉛筆、ノート、消しゴム……。そういうものが、不足している。こういうところへは、寄付金よりも文房具をたくさん購入して渡す方がいいのかもしれないとも思った。

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上の写真のコンピュータも、アナミカの組織からの寄付。すべての子供たちがコンピュータを触れるよう、教育しているのだという。今日は、電源の調子が悪く、コンピュータが立ち上がらなかった。

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上の写真は先生のウマ。アナミカ曰く、彼女は「よい先生」だとのこと。片道12キロを毎日スクーターで通勤している。

大学の教育学部を出ており、教師としての訓練も受けている。なお、月給は7000ルピー(12000円程度)とのこと。メイドよりもちょっといいくらい、ファストフードの店員と同じくらいか少し安いくらいの、給与である。

ともあれ、彼女は教師の仕事が好きだとのこと。熱意が感じられた。

ガヴァメント・スクールの先生の中には、とても教師にふさわしくない人物が少なくないと聞いていたので、なおさら好印象を受けた。

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乾いた大地にぽつんとたたずむ村に別れを告げ、今度は市街南部のやや東に進路をとる。エレクトロニクス・シティよりも更に南にある学校。

ここは、アナミカが一番最初に関わった学校である。

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鉛筆に乗った子供たち。これがカルナタカ州ガヴァメント・スクールのマークである。この学校はしかし、さらにきれいな校舎で驚く。

聞けば校舎そのものは、アナミカの知人の男性が寄付したものだとのこと。

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村の子供たちがシャイだったのに比べ、ちょっと町中に入ると、子供たちの元気かつアグレッシヴなこと。やたらとカメラに迫ってくる。

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自分のノートを撮ってと迫ってくるところ、どの学校の子供たちも同じような朗らかさだ。

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ここの学校は、コンピュータがきちんと起動していた。子供たちは6歳〜10歳までの子供たち、全員がコンピュータを扱える。

各自が自分のファイルにアクセスして、ワードを開いて入力の練習ができるように設定してあるのだ。

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英語の本を参考に、子供たちは大きめのフォントで文字を入力してゆく。ゆっくりでも、みな確実に入力が出来る。

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試しにわたしの名前も入力してもらった。うまいうまい!!

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子供たちの視線に、好奇心の強さがほとばしっている。ま、中には必ず集中力散漫で、カメラ目線の子供も数名はいるのだが。

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アナミカ(左端)と、先生、スタッフの面々。右端の女性はご近所に住む妊婦さん。コンピュータの勉強をしたいとのことで、ここで子供たちに紛れて生徒をやっているようだ。

教育を受けることのできなかった大人たちへの学校や職業訓練校の重要性を、肌身に感じる。

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英語教育のソフトウエアを使って、自分たちで勉強をする子供たち。たった一台でも、コンピュータがあるとないとでは、彼らの将来に大きな影響を与えるのだろう。

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移動のロング・ドライヴ中には、アナミカともあれこれと話をし、学ぶところ多く、非常に有意義な一日であった。バンガロール郊外の見知らぬ村落の様子も見られたのもよかった。

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アナミカとは、米国からの元NRIだということもあり、プライヴェートでも共通項が多く。

今度は夫婦揃って会いましょうとの話になり、いい出会いであった。

■One Billion Literates Foundation (←Click!)

■MSS:地域社会への貢献/慈善活動の記録 (←Click!)

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※下記は、2010年9月に記したインドの教育事情に関する記事だ。今日の話題の背景として、セットで読んでいただきたい内容なので、ここに転載しておく。

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■インドの教育事情、超断片。(以下、2010/09/06掲載の記事より転載) 

今、インドは、教育産業(教育市場)も熱い。

という話は、数年前よりしばしば耳にしてきた。インドの教育システムの構造についてをここで説明するのは面倒なので、興味のある方は、上の写真を参考にしていただければと思う。

これまで幾度か、日本のクライアントから、インドの教育事情に関するリサーチ、レポートを依頼されたことがあった。依頼された仕事はなるたけ引き受けるべく、努力をしたいと思っている。

しかし、ことインドの教育事情に関しては、とてもわたしの情報収集力とネットワークとでは、先方の望むデータを集めることができないことが予測され、辞退したこともあった。

わたし自身に子どもがいないこともあり、日常的に教育関連の情報を耳にすることはない。しかし、折に触れて知れば知るほどに、その一筋縄ではいかない感じに圧倒される。

今回、改めてBANGALORE EDUCATION TRUSTを訪問したことで、インドの教育事情について、個人的にもう少し知識を得たいと思った。

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インドの教育産業が熱い理由はさまざまであるが、まず、若者の人口が多いことが一つ。人口の半数、つまり5億人以上が25歳以下であること。また、教育にお金をかける中流層が拡大していることなどが挙げられる。

州によってその教育事情は著しく異なるが、群を抜いて教育熱が高いのはアンドラ・プラデシュ州だとのこと。全寮制の予備校(コーチング・スクール)などが複数存在し、子どもたちに「猛勉強」をさせているという。

その具体的な猛勉強ぶりについて、夫から説明を受け、わたしはまた別の意味で、心底、ぐったりとした。

学校に通えない子どもたちが大勢いる一方で、まるで機械のように、朝から晩まで勉強をさせられる子どもたち……。その著しいギャップ。

ちなみにインド各地に点在するIITs(インド工科大学)の合格者の40%ほどがアンドラ・プラデシュ州出身者で占められているらしい。

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先日も記したが、夫が手がけているプロジェクトの一つに、教育関連機関への投資があるとのことで、最近の夫は、インドの教育事情に詳しい。

さまざまな資料があるというので、基本的なものを見せてもらいたく、軽い気持ちで「資料見せて」と頼んだのだった。

と、夕刻、夫からメールで複数の資料が送られて来た。複数のリサーチ会社が作成したインドの教育事情に関するレポートだ。

いずれも興味深いが、ものすごいヴォリュームだ。コンピュータの画面を追うのが辛いので、印刷しようと枚数を確認したところ、全部のファイルを合わせたら、200枚にも上る。

どうしよう。そんなに印刷して、実際読むのか? と、自問していたところに、夫からメールが届いた。

「さっき送った資料、紙の無駄だから印刷しないように! 印刷した資料があるので、持ち帰ります」

無駄だと思いながらも、印刷せずにはいられない妻の行動を素早く察知しての夫のメール。さすがである。

大量の資料を携えて帰宅した夫。

「しっかり全部読んで、理解しなさい」

と、厳しい。全部は、無理!

同じ教育関連の情報収集でも、夫が目指すところと、妻が目指すところは、かなり異なるのではあるが、とはいえ自力では簡単に収集できない資料を見ることができるのは、幸運なことである。

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非常に基本的な情報であるところの下の資料。一般的な情報源なので転載するが、ともあれこの、たったひとつのデータ(グラフ)を咀嚼するのにさえ、少々の時間を要する。

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先日、「インドの公立学校は全体の93%を占める」ということを記したが、これはそのもととなる資料だ。

ちなみにこの数字は、K-12(Kindergardenから高校までの13もしくは14年間の教育期間)の教育機関を対象としたもので、大学や大学院、専門学校、予備校などを含めると、私立学校の比率が高まる。

インドにある約100万校のK-12のうち、私立は7%に過ぎないのだが、しかし。私立学校に入学しているのは、全生徒数の44%にものぼっている。

学校の数は公立の方が圧倒的に多いにも関わらず、生徒の半数近くが私立に通っている。この数字の向こうに、さまざまな現実が見え隠れしている。

このグラフの右側には、私立学校の内訳があり、同じ私立でも政府の支援を受けている学校と、完全なる私立のスタンダード、プレミアムといった具合に細分化され、その学費も大幅な差があることを示している。

なお、各種資料の上では、公立は”PUBLIC”、私立は”PRIVATE”と表記されているが、インドの公立高校は政府運営であることからガヴァメント・スクール GOVERNMENT SCHOOLと呼ばれている。

たとえば夫の母校でもあるDELHI PUBLIC SCHOOLなどは、英国式にPUBLIC SCHOOLと冠されているものの、私立である。

なお、統計の数字は、いずれも絶対的なものは、ない。ということは先日も記したが、念のためここに補足しておく。

■統計。あてになる数字。あてにならない数字。(←Click!)

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ところで、我が家のメイドのプレシラ。一人息子には私立の学校に行かせている。世帯収入は夫婦合わせてひと月3万円弱。彼ら3人家族に加え、義理の親や姉など計7人。

諸々の事情を鑑み、年に一度おさめる学費を、わたしたちが負担しているが、それはもう、雇用主としてはそうせずにはいられない状況なのである。

バンガロール界隈の公立学校の環境の悪さをして、子どもの教育を託せないと、このような言い方をすると語弊があるのを承知で書くが、階級差の著しいこの地にあって、「メイドでさえも」痛感しているのである。

今年からはまた、庭師の長女の学費も援助してはじめたことは、先日も記した。長女も、長男(弟)も、私立に通っているのだ。もっとも長男はケララ州に暮らす庭師の姉が面倒を見ているらしい。

両親が子どもを学校に行かせず、働きに出そうとしている貧困層が少なくない中、我が家の使用人家族は、無理をしてでもいい教育を受けさせようと、子どもの将来を見据えた立派な人たちだとも思える。

ところ先日、母がインドへ来た翌日のこと。メイドも、庭師も、母を見て挨拶をしたあと、すぐさま学費支援に対する感謝の気持ちを母に伝えたのだという。

わたしはその場にいなかったが、母曰く、ゼスチャーで、子どものことに対してお礼を言っていることがわかったとか。

母にお礼をいってくれるほどにまで、彼らにとって、子どもの教育には重みがあるのだろうということを痛感した。

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